【監修者】行政書士法人スマートサイド:代表行政書士 横内 賢郎(よこうち けんろう)
東京都の経営事項審査の専門家。技術職員70名以上の都知事許可業者や、技術職員89名の大臣許可業者など、大規模な技術者数を抱える会社のZ評点対策を数多く手掛けてきた。
Z評点(技術職員数及び元請完成工事高)は、総合評定値P点のうち0.25のウエイトを占め、X1評点と並んで最大の配分を持つ評価項目です。「技術力」という名前のとおり、資格を持つ技術者の人数と、元請としての施工実績の両面から会社を評価します。
この記事の要点(まとめ)
- Z評点=技術職員数評点Z1×0.8+元請完成工事高評点Z2×0.2で算出(点数幅の目安:456点〜2,441点)
- Z1は、技術者の資格区分ごとに付与された点数(1級監理技術者6点〜その他技術者1点)を合計した「技術職員数値」を点数テーブルに当てはめて算出
- 技術職員として加点対象になるには、審査基準日から6か月を超える常勤雇用が必要
- 1人の技術者が加点対象にできる業種は2業種まで
- Z2(元請完成工事高)はX1と異なり「元請」分のみが評価対象
目次
- Z評点とは|技術力を測る2つの要素
- Z1(技術職員数評点)の計算方法
- 技術職員として認められるための3つの要件
- Z2(元請完成工事高評点)の計算方法
- キャリアアップシステム(CCUS)とZ評点の関係
- よくある質問
- まとめ
1. Z評点とは|技術力を測る2つの要素
Z評点は、次の計算式で算出されます。
Z=技術職員数評点Z1×0.8+元請完成工事高評点Z2×0.2(小数点以下切り捨て)
Z1(技術職員数)の比重が0.8と大きく、Z2(元請完成工事高)の比重は0.2にとどまります。つまり、Z評点の実質的な主役はZ1(技術者の人数と資格)であり、元請実績はその補完的な位置づけといえます。公式資料ベースの点数幅の目安は456点(下限)〜2,441点(上限)です。
2. Z1(技術職員数評点)の計算方法
Z1は、次の2段階で算出します。
ステップ1:技術職員数値の算出
技術職員数値=G1×6+G2×5+G3×4+G4×3+G5×2+G6×1
| 区分 | 内容 | 点数 |
|---|---|---|
| G1 | 1級技術者(監理技術者資格者証保有かつ監理技術者講習受講) | 6点 |
| G2 | 1級技術者(上記以外) | 5点 |
| G3 | 監理技術者補佐(1級技士補) | 4点 |
| G4 | 基幹技能者 | 3点 |
| G5 | 2級技術者 | 2点 |
| G6 | その他技術者 | 1点 |
ステップ2:Z1点数テーブルへの当てはめ
算出した技術職員数値を、Z1算出テーブルに当てはめます。たとえば技術職員数値が230以上300未満の区分では「63×(技術職員数値)÷70+1,119」という式が使われます。技術職員数値が246であれば、63×246÷70+1,119=1,340点(小数点以下切り捨て)です。
3. 技術職員として認められるための3つの要件
技術職員として加点対象にするには、次の3つの要件をすべて満たす必要があります。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ①常勤性 | 審査基準日(決算日)現在、その会社に常勤していること |
| ②雇用期間 | 審査基準日から起算して6か月を超える期間、恒常的な雇用関係にあること |
| ③加点業種数の上限 | 1人の技術者が加点対象にできるのは最大2業種まで |
3月末決算の会社であれば、9月30日までに採用していなければ、その期のZ評点には反映されません。決算日直前に慌てて採用しても間に合わないため、技術者の採用計画は決算日から逆算して立てる必要があります。また、標準報酬決定通知書に記載された報酬額が一定水準(東京都の場合、月額10万円以上が目安)に満たないと、常勤性の証明ができず、技術職員名簿に掲載できない点にも注意が必要です。
(経審の専門家としての視点)
==出向社員も、要件を満たせば技術職員として加点対象にできます。==グループ会社間で技術者を融通しているケースでは、出向契約の内容や社会保険の加入状況によって常勤性の証明方法が変わってくるため、書類の準備には専門的な知識が必要です。
4. Z2(元請完成工事高評点)の計算方法
Z2は、業種別の年間平均元請完成工事高(2年平均または3年平均)を、Z2算出テーブルに当てはめて算出します。この平均年数は、X1評点で選択した平均年数と同じ年数にする必要があります。
たとえば、年間平均元請完成工事高が7,000万円(70,000千円)のとき、該当する区分の式「36×(70,000)÷20,000+659」に当てはめると、785点(小数点以下切り捨て)になります。
X1評点が元請・下請を問わない完成工事高であるのに対し、Z2は元請として受注した分のみが対象です。下請中心の会社は、X1が高くてもZ2が伸びにくいというねじれが起きやすいため、元請への移行を目指す場合はZ2の推移も継続的に確認しておく必要があります。
5. キャリアアップシステム(CCUS)とZ評点の関係
近年の制度改正により、建設キャリアアップシステム(CCUS)のレベル判定(レベル3・レベル4の技能者)を、技術職員数値の算定に反映する仕組みが強化されています。CCUSで高いレベル評価を得た技能者を自社で確保・育成することは、Z評点における技術職員数値の底上げと、後述するW評点(W1の「知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況」等)の両方にプラスに働く可能性があります。CCUSのレベル判定の詳細な要件は随時見直されているため、申請時点の最新の運用を許可行政庁の手引きで確認することをおすすめします。
6. よくある質問
Q. 一人親方は技術職員としてカウントできますか?
A. 常勤性の要件(社会保険の加入状況や報酬額など)を満たせないケースが多く、原則として技術職員には該当しません。個別の雇用実態によって判断が分かれるため、専門家への確認をおすすめします。
Q. 経営業務の管理責任者と技術職員は兼任できますか?
A. 兼任自体は可能ですが、技術職員としての常勤性・専任性の要件を別途満たす必要があります。
Q. 技術職員数値が同じでも、業種によってZ1点数は変わりますか?
A. Z1(技術職員数評点)は業種を問わず全社共通の技術職員数値をもとに算出されるため、業種によって点数が変わることはありません(一方、Z2は業種ごとに元請完成工事高が異なるため、業種ごとに点数が変わります)。
7. まとめ
- Z評点=Z1(技術職員数評点)×0.8+Z2(元請完成工事高評点)×0.2で算出
- Z1は資格区分別の技術職員数値(1級監理技術者6点〜その他1点)を点数テーブルに当てはめて算出
- 技術職員として認められるには「常勤性」「6か月超の雇用」「加点業種2つまで」の3要件が必要
- Z2はX1と異なり、元請完成工事高のみが評価対象
技術職員の採用をP点対策としてどこまで優先すべきかについては、「経営事項審査(経審)の点数を上げる方法【優先順位】を専門行政書士が解説」で解説しています。
行政書士法人スマートサイドでは、技術職員名簿の作成や常勤性の証明書類の準備についても、事前予約制の有料相談で承っております。



