

東京都の経営事項審査の専門家。経審の手続きはもちろんのこと、制度や仕組みだけでなく東京都の独特のルールにも精通。クライアントが、総合評定値P点を100点以上アップしたり、2億円を超える東京都の公共工事を受注するなど、数多くの成功実績を誇り、お客さまからの信頼も厚い。「はじめての方のための経営事項審査入門書」を出版。
経営事項審査(経審)の審査項目の1つであるZ評点(技術職員数及び元請完成工事高)は、総合評定値P点のうち0.25のウエイトを占め、X1評点と並んで最大の配分を持つ評価項目です。「技術力」という名前のとおり「資格を持つ技術者の人数」と、「元請としての施工実績」の2つの点から会社を評価します。
この記事の要点(まとめ)
- Z(技術力)は、「技術職員の人数」と「業種別の元請完成工事高」が審査の対象になる
- Z評点=技術職員数の評点(Z1)×0.8+業種別の元請完成工事高の評点(Z2)×0.2で算出
- Z1は、技術者の資格区分ごとに付与された点数(1級監理技術者講習受講あり6点~その他の技術者1点)を合計した「技術職員数値」を点数テーブルに当てはめて算出
- 技術職員として加点対象になるのは、審査基準日から起算して6か月を超える期間の常勤雇用が必要
- 1人の技術者が加点対象にできるのは2業種まで
- Z2は、X1と異なり、「元請」完成工事高のみが評価の対象
【1】Z評点とは|技術力を測る2つの要素
| Z | 評価対象 | ウエイト |
|---|---|---|
| Z1 | 技術職員数 | 0.8 |
| Z2 | 業種別平均元請完成工事高 | 0.2 |
Zは、会社の「技術職員の人数」と「業種別の元請完成工事高」の2つを審査の対象としています。Z評点は、次の計算式で算出されます。
- Z=技術職員数の点数(Z1)×0.8+元請完成工事高の点数(Z2)×0.2
※小数点以下切り捨て
上記の計算式(ウエイト)から見てもわかるように、Z評点の実質的な主役はZ1(技術者の人数と資格)です。元請完成工事高は、技術力を推し量るうえで、技術者の人数の補完的な位置づけであるともいえます。
【2】技術職員数の点数(Z1)の計算方法
技術職員数の点数(Z1)は、「(1)技術職員数値を算出」し、その後、「(2)算出した技術職員数値をテーブル表の計算式に当てはめる」ことによって、算出します。以下、具体的に見ていきます。
(1)技術職員数値の算出
技術職員数値は、以下の区分表および計算式を使って算出します。
| 区分 | 内容 | 点数 |
|---|---|---|
| ① | 1級技術者(監理技術者資格者証保有かつ監理技術者講習受講) | 6点 |
| ② | 1級技術者(上記以外) | 5点 |
| ③ | 監理技術者補佐(1級技士補) | 4点 |
| ④ | 基幹技能者 | 3点 |
| ⑤ | 2級技術者 | 2点 |
| ⑥ | その他技術者 | 1点 |
①の人数×6点+②の人数×5点+③の人数×4点+④の人数×3点+⑤の人数×2点+⑥の人数×1点
例えば、
- 1級技術者(監理技術者資格者証保有かつ監理技術者講習受講)→2名
- 2級技術者→3名
の場合、技術職員数値は、2名(①の人数)×6点+3名(⑤の人数)×2点=18点となります。
(2)技術職員の数の点数を算出するためのテーブル表
技術職員数値18点をテーブル表の計算式に当てはめると「63×18÷5+508=734(小数点以下切り捨て)」となります。
| 15以上 | 20未満 | 63 ×(技術職員数値)÷5+508 |
■専門家の視点■
技術職員として認められる(経審の際の加点対象になる)には、以下の3つの条件を満たしていなければなりません。
1.審査基準日(決算日)時点で、その会社に常勤していること
2.審査基準日から起算して6か月を超える期間、会社に在籍していること
3.1人の技術者が加点対象にできる業種は、最大2業種まで
一方で、出向社員であっても、上記の条件を満たせば技術職員名簿に掲載し、加点事由とすることができます。「出向社員は加点対象にならない」「資格がないと技術職員名簿に掲載できない」と勘違いしている人も多いので、経審の申請の際には、今一度、技術職員名簿の記載の仕方について、ルールを確認するようにしてください。
【3】元請完成工事高の点数(Z2)の計算方法
Z評点では、いままで見てきた「技術職員の人数(Z1)」のほかに、業種別の平均元請完成工事高(Z2)も審査の対象になります。X1が「元請・下請関係なく」業種ごとの完成工事高を審査の対象とする項目だったのに対して、Z2は「元請のみ」の業種ごとの完成工事高を審査の対象とする項目である点に違いがあります。
| 業種 | 元請 | 下請 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 内装工事 | 7000万円 | 1億3000万円 | 2億円 |
たとえば、上記のように、内装工事の合計完成工事高(2億円)の内訳が「・元請7000万円・下請1億3000万円」だった場合。X1の審査項目で評価の対象になるのは、合計金額である2億円であるのに対して、Z2の審査項目で評価の対象になるのは、元請の完成工事高である7000万円のみということになります。
元請完成工事高の点数(Z2)は、以下のテーブル表の計算式に当てはめて、算出します。
元請完成工事高が、7000万円だった場合、下記の計算式に当てはめて元請完成工事高の点数を算出します。この場合、元請完成工事高の点数は785点(=36×70,000÷20,000+659)になります。
| 6,000万円以上 | 8,000万円未満 | 36 ×(年間平均完成工事高)÷20,000+659 |
■専門家の視点■
Z2(業種別の元請完成工事高)も、X1(業種別の完成工事高)と同様に、「2年平均か、もしくは3年平均か」を選択することができます。また、業種間の振替を行うことができるのも、X1と同様です。
ただし、「X1で2年平均を選んだのに、Z2で3年平均を選ぶ」ということや「X1で業種間の振替を行っていないのに、Z2で業種間の振替を行う」ということはできません。
「2年平均か3年平均か」「業種間の振替を行うか否か」は、X1とZ2とで一致していなければならない点に注意してください。なお、「2年平均・3年平均」や「業種間の振替」について詳しく知りたい方は、『経営事項審査のX1評点(業種別完成工事高)とは?点数の仕組みと上げ方を解説』のページで詳しく解説していますので、こちらのページもご参照ください。
【4】Z評点の計算方法
ここまで説明してきた「技術職員の数の点数」「元請完成工事高の点数」を表にすると以下の通りになります。
| 技術職員 | 元請完成工事高 | |
|---|---|---|
| 内容 |
|
7000万円 |
| 点数 | 734点 | 785点 |
このページの冒頭でも解説したようにZ評点の計算方法は、『技術職員数の点数(Z1)×0.8+元請完成工事高の点数(Z2)×0.2』ですので、この場合のZ評点は『734×0.8+785×0.2=744点』になります。
■専門家の視点■
Z評点の内訳をみると、Z2の元請完成工事高のウエイトは0.2と、それほど高くはありません。しかし、経営事項審査を受けて、これから公共工事にチャレンジしていこうという会社は、民間工事でも積極的に元請工事を受注していくことをお勧めします。なぜなら、公共工事は役所から「元請」の立場で、受注する工事だからです。
元請の立場になると「発注者との打合せ」「下請業者の管理」「工事全体の進捗の確認」「近隣住民への配慮」など、さまざまな問題に直面します。そのため、経営事項審査では、X1のほかにZ2の審査項目を設けて「元請工事」の完成工事高を、会社の技術力の審査項目として加点対象としているのです。
ウエイトが少ないとは言え、確実に加点対象となる元請工事の割合を徐々に増やしていく工夫が、経審対策になることは、間違いありません。
【5】まとめ
- Z評点=Z1(技術職員数評点)×0.8+Z2(元請完成工事高評点)×0.2で算出
- Z1は資格区分別の技術職員数値(1級監理技術者6点〜その他1点)を点数テーブルに当てはめて算出
- 技術職員として認められるには「常勤性」「6か月超の雇用」「加点業種2つまで」の3要件が必要
- Z2はX1と異なり、元請完成工事高のみが評価対象
技術職員の採用をP点対策としてどこまで優先すべきかについては、「経営事項審査(経審)の点数を上げる方法【優先順位】を専門行政書士が解説」で解説しています。
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