皆さんの中には、
- 急いで経営事項審査を受けなければならない
- 公共工事の入札に間に合わせるために、なんとしても急がなければならない
- すぐにでも経営規模等結果通知書・総合評定値通知書が欲しい
という方も、いらっしゃるのではないでしょうか?実際に、弊所にお問い合わせがあるなかで一番多いのが、
- 役所の人から催促されたり
- 取引先から頼まれたり
- どうしても受注したい公共工事が目前に迫っていたり
事情は、いろいろあるようですが、「どのくらいの期間で?」といった質問は非常に多いです。
そこでこのページでは、実際の実務を行っていく中で、どのくらいの期間で、経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書を取得できるのかについて、手続きの流れに沿って、記載して行きたいと思います。なお、以下の文章は、あくまでも、東京都知事許可を持っている建設業者が、東京都の経営事項審査を受ける場合を前提にしていますので、ご了承ください。
手続き1.まずは決算変更届の提出
意外と理解できていない人が多いのですが、経営事項審査を受審して「経営規模等評価結果通知書・総合評定値結果通知書」を取得するには、決算変更届の提出が滞りなくできていることが大・大・大前提です。
「どうしても早く経審を受審して、経営規模等評価結果通知書・総合評定値結果通知書を取得したい、どうにかして欲しい」という方に限って、「それでは、決算変更届は、漏れなく出せていますか?」と聞くと「決算変更届?なにそれ?」といった回答が返ってきてしまうことが、しばしばあります。
決算変更届は、事業年度終了後4か月以内に許可行政庁(東京都知事許可業者の場合は、東京都庁)に提出しなければならない変更届の一種です。
なぜ、決算変更届を提出してからでないと、経審を受けることができないのか?
皆さんは、なぜ、決算変更届を提出してからでないと、経審をうけることができないのか?ご存知ですか?
理由1
まずは、形式的な理由として、「法律上決まっているから」というのが1つ目の答えになります。許可業者は、事業年度終了後4か月以内に決算変更届を提出するように法律上義務付けられています。しかし、これでは、実質的な理由(答え)になっていませんね。
理由2
実質的な理由ももちろんあります。経営事項審査は、審査対象事業年度を基準とした「完成工事高」や「工事実績」をもとに行われます。「完成工事高」や「工事実績」をもとに、複雑な計算式を用いてP点(経営事項審査の結果の点数)が算出され、「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」に記載されるわけです。
この「完成工事高」や「工事実績」は、決算変更届の際の提出書類である「財務諸表」「直前3年の各事業年度における工事施工金額」「工事経歴書」をもとに審査されます。
つまり、経営事項審査を受けるにあたって、先に審査対象事業年度の決算変更届を提出していなければ、審査の対象となる資料・額・数字がないことになります。
そのため、経営事項審査を受けるには、先に、決算変更届を提出していなければならないのです。これが実質的な理由です。
理由3
理由の3つめとして、東京都の場合、経営事項審査が予約制になっており、予約を入れる際には、決算変更届の副本を提示(決算変更届を提出済みであることを条件に)しなければならない点が挙げられます。実際に、経審の予約を入れたことがあるひとならわかると思いますが、決算変更届の副本を提示しないと、経審の予約は入れることができません。
理由1は「形式的な法律上の理由」、理由2は「実質的な審査上の理由」ですが、理由3は「手続き上の理由」といえそうですね。
- まずは、決算変更届を漏れなく提出してからでないと、経営事項審査を受けることができないのはもちろんのこと、経営事項審査の予約を入れることすらできません。
- 決算変更届を2期分も3期分も提出していない会社が「急いで経審を!」といったところで、状況的には、なかなか厳しいと言わざるを得ませんね。
手続き2.続いて、経営事項審査の予約を
東京都の場合、経営事項審査は予約制になっています。上記に述べた通り、決算変更届を提出してからでないと予約を入れることができないわけですが、予約を入れたくても、数週間~1ケ月程度、空きがない場合もあります。
参考までに手引きに記載されている予約対象時間を下記にも記載して置きます。
予約受付時間 | 予約対象の審査時間 | 備考 |
---|---|---|
月曜日~金曜日
9:00~17:00 建設業課受付に直接来庁して、審査日の申込が必要です。 受付済みの決算変更届書(副本)が必要です。 |
月曜日~金曜日
〇9:30~ 〇10:30~ 〇13:30~ 〇14:30~ |
2ケ月先の審査日まで予約できます |
- 経営事項審査は、予約制です。
- 予約を入れるには、決算変更届の副本が必要です。
- 予約に空きがなければ、数週間~1ケ月程度、待つ必要があります。
手続き3.経営事項審査の前に、経営状況分析を
経営事項審査の前には、経営状況分析を受けていなければなりません。経営状況分析とは、会社の財務状況を審査しY点という点数を算出する手続きのことを言います。民間の経営状況分析機関に依頼して行うことになります。
このY点は、経営事項審査の際に必要となる指標の1つです。経営状況分析を受けると1週間程度で、経営状況分析の結果通知書が発行されます。この経営状況分析の結果通知書は、経営事項審査の際に提出する必要書類の1つでもあります。
そのため、経営状況分析を受けて、経営状況分析の結果通知書を取得してからでないと、経営事項審査を受けることができません。
- 経営事項審査を受けるには、先に経営状況分析を受けておく必要があります。
- 分析申請後、分析結果が届くまで1週間程度かかります。
手続き4.やっと、経営事項審査の受審です。
手続き1~手続き3を経て、やっと経営事項審査を受審することができます。このページでは、「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書を取得するまでの期間」に重点を置いて、記載しているので、「経営事項審査に必要な書類」などの記載は割愛させて頂きますが、経営事項審査には、さまざまな書類が必要で、書類を集めるのにも苦労すると思います。
経営事項審査のために用意した書類に不備があれば、「再来(さいらい)」といって、不足書類を準備したうえで、再度の来庁を要請されることになります。
書類に不備があり、「再来」となった場合には、「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」の取得が、その分遅くなってしまうので、注意しましょう。
- 書類に不備があれば、「再来」になってしまい、その分、「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」の取得が遠のいてしまいます。
手続き5.標準処理期間は22日。
経営事項審査を受け終わったからと言って、その場で「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」がもらえるわけではありません。
不備がなければ処理期間は22日です。都庁で経営事項審査を受けてから、おおよそ22日後に御社に「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」が発送されます。
- 経審を受審してから、御社に「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」が届くまでに、22日以上かかります。
「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」の取得にかかる期間
- 明日にでも「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」が欲しい!
- 来週中には「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」が必要!
- 今月末までに何とか「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」を取得したい!
といった場合に、果たして、そんなことが可能なのでしょうか?
できることなら私も上記のようなご要望にお応えしたいのはやまやまですが、経審の予約から審査まで1ケ月程度、さらに審査から結果通知書の交付まで22日程度かかるのに、
<弊所にご依頼頂いた際の一般的なスケジュール>
初めて経営事項審査を受ける方が、弊所にご依頼頂いた場合の一般的なスケジュールは、以下の通りです。
手続きの流れ | 期間 |
---|---|
①お電話~初回面談・打ち合わせ | ~1週間程度 |
②決算変更届の提出 | 初回面談~2週間程度 |
③経営状況分析の申請/経営状況分析結果通知書の取得 | 初回面談~3週間程度度 |
経営状況分析の結果通知書を取得するまでに大体1ケ月 | |
④経営事項審査の申請 | 経営状況分析結果通知書の取得から数週間~1ケ月程度
※予約のキャンセル待ちなどをして、なるべく早く経審を受けることができるように工夫しています。 |
経営事項審査を申請するまでにさらに1ケ月 |
|
⑤「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」の取得 | 経営事項審査の申請から22日程度 |
経営事項審査を受けてから 「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」の取得までにさらに1ケ月程度 |
どうしても急いで「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」を取得したいという方へ
さて、「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」を取得するのに、どれくらいの期間がかかるのか?おおよそのスケジュール感は、理解頂けましたでしょうか?
- 今週中にどうにかしたい
- 来週までに手元に欲しい
といったご相談を受けることがありますが、全く何の準備もされていない方が、2~3週間で「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」を取得することはできません。
しかし、「これから公共工事の入札を視野に入れていきたいので、徐々に準備がしたい」とか、「来年の入札資格取得に向けて、作業を開始したい」というのであれば、時間が足りないということはありません。
経営事項審査の受審は、とても難しい作業です。決算変更届の提出から始まり、経審の書類の準備を行い、不備なく書類を申請しなければなりません。書類のつくり方を間違えたり、手続きの手順を間違えたりすると、最初からやり直しという可能性もなくはありません。
経営事項審査を受審して「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」を取得するには、入念な事前準備が必要です。
もし、御社が「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」の取得でお困りなら、ぜひ、横内行政書士法務事務所にご連絡ください。